負債整理
管財事件になることを回避することができた事案
依頼者は元々長く公務員として勤めていて、相談に来られる数年前に多額の退職金を受領していたものの、妻や娘、自身の健康上の問題に起因する入通院その他の様々な支出に加え、金銭管理がずさんであったことによって退職金を使い果たし、数百万単位の多額の負債を生じさせてしまいました。
自己破産申立てをしたものの、多額の浪費及び浪費の経過に関し裁判所からかなり細かいところまで補充説明を求められました。しかし、裁判所からの指摘をすべてクリアし、最終的に管財事件になることなく簡易な同時廃止事件として処理をすることができました。
個人の自己破産では、悪質な浪費がある場合など、申立人を免責させて良いかどうか中立的な視点から調査をする必要があると判断される場合に、破産管財人が選任されることがあります。その場合、個人だと最低20万円の予納金を裁判所に納めなければならなくなってしまいます。
本件でも管財相当と判断がなされる可能性が大いにありましたが、依頼者から粘り強く事実関係を聴取し資料を集めた結果、裁判所からの補充事項の照会に応えることができました。
管財事件になるか同時廃止事件に留めることができるかは本当にケースバイケースですが、裁判所が求めるであろうことに配慮した丁寧な申立てを行い、事後に裁判所から補充を求められた事項に対してもひとつひとつ誠実に向き合うことで、管財事件となることを回避できる事案は決して少なくありません。
多額の浪費や一部の債権者への抜け駆け弁済など、裁判所の目が厳しくなりがちな事情を抱えていらっしゃる場合であっても、お気軽にご相談ください。
個人再生手続により住宅を維持しつつ負債整理を完遂した事案
依頼者は会社員の男性で、勤続年数も長く、仕事及び収入は安定していました。
戸建ての自宅に家族と生活していましたが、住宅ローンの支払がある中、子供の学費やギャンブル、収入に見合わない飲食等で負債を拡大させてしまい、相談に訪れました。
収入が安定していて、かつ、ある程度の水準を確保できる見通しであったことに加え、妻をはじめとする家族の協力態勢もありました。そこで、家計の状況を精査した結果、個人再生手続によって負債を減免することにより、住宅ローンを支払いつつ3年以内に圧縮された負債を返済し切ることが可能であると判断できたため、個人再生手続の申立てを行いました。
その結果、無事再生計画が認可されて再生手続が開始され、依頼者自身も3年間ほぼペースを乱すことなく再生計画を遂行できたため、無事圧縮された負債を全額弁済し、手続を終了させることができました。
個人再生手続は、安定し、かつ世帯の支出額と照らし合わせて一定以上の水準の収入がなければ実際上進めていくことは難しく、一筋縄ではいきません。
裁判所の要求するハードルも比較的高いため、安易な申立てこそできないものの、裁判所が要求するであろう事柄を意識して準備を進めていくことで、無事に計画認可に至ることも決して少なくありません。
個人の場合に再生手続を選択するのは、特殊な事情がなければ住宅を維持したいという需要によることが多いと思われます。
自宅を維持しつつ負債を整理したいというご希望がございましたら、お気軽にご相談いただければ、と思います。
再生手続をきちんと進めていくことができるか適切に検討するとともに、進められそうだと判断した場合には申立てが無事通るよう全力でサポートします。
中古車修理・販売業の会社及び代表者の自己破産
中古車の修理・販売等の事業を営む会社の代表者の方から、経営に行き詰ってしまい事業を整理したいという相談が寄せられました。
会社といっても従業員はおらず、実質個人事業主に近い業態であり、直近ではほとんど売り上げも上がっておらず廃業間近という状態でした。
債権者に通知を出して支払を停止しつつ、依頼者に再就職を促し、少しずつ予納金を積み立てさせました。
準備を綿密にして自己破産申立てを行った結果、法人破産の案件としては、かなり少額な予納金額で抑えることに成功し、申立後の処理も管財人の要請に応じて地道に行い、無事法人の自己破産と代表者の免責決定を得ることができました。
法人ないし個人事業主の方の破産の場合、進め方は本当にケースバイケースですが、総じて多数の要処理・検討事項を丁寧かつスピーディーにこなしていく必要があります。
他方で、債権者からの請求を止めつつ進捗を適宜報告することによって、債権者から訴訟提起される等のリスクを極力回避しながら無理なく予納金を貯めていくことが必要になるケースも多いです。
今回のケースでは、実質事業がストップしていて会社の残余財産もほとんどなかったこともあり、管財人に引き継ぐ事項を少しでも減らして予納金の額を下げるよう試みることが有効であると判断し、破産の申立てまでに必要な負債の額の調査、財産の調査及び確保、要処理事項の洗い出しとこちらで処理すべきか管財人に引き継ぐべきかの振り分け・こちらで処理すべき事項の処理等を順次行った結果、法人破産としては非常に小さな負担で処理をすることができました。